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タイの年次決算時のポイント

今回はタイの会計に関するテーマとして、タイの年次決算におけるポイントとよく監査人から受ける指摘事項について取り上げます。

 

タイでは12月決算期の企業が多いですので、この時期に準備をされている方も多いかと思います。

実際の会計・税務処理は会計事務所や自社の会計スタッフが対応することになりますが、特に問題ないという報告を受けていて、あるいは報告が全くない状況で、期限が迫り蓋を開けてみると決算報告書が遅い、監査が遅れてしまった、ということもみられます。

 

年次決算を進めるにあたってのポイントを抑え、常に状況報告をしてもらうことが大切です。

決算整理事項は大きくは日本と変わりませんが、主に以下のようなポイントがあります。

 

・棚卸資産の実地棚卸/売上原価の確定

棚卸資産の金額は、売上原価、利益に直接影響しますので、操作がされやすいという点から、監査や税務調査で特にチェックが入るところです。また、売上原価と販売管理費の区分が適切にされているか、という確認も入ります。例えば、仕入にかかる輸送費、関税などが売上原価に算入されずに販売管理費で計上されている場合に、販売管理費から売上原価への科目の振替を求められることがあります。

 

・減価償却費の計上確認

タイの減価償却費は、月で計算する日本とは異なり、固定資産の使用を開始した日から日割りで計算されます。そのため、月によって暦日数が異なるため、減価償却費が変動します。

 

・引当金の計上確認

引当金には賞与、退職金、貸倒、製品保証などの種類がありますが、賞与、退職金、製品保証については原則として実際に支払った時点で税務上損金処理が出来ます。引当金を計上した時点では、会計上は費用計上するものの、税務上損金には含まれないため、税務申告で調整が必要です。貸倒引当金は、税務上は以前の記事で記載をした通り、実際に貸倒が発生したうえで、金額によりそれぞれ要件を満たす必要があります。10万バーツ以下の場合は督促の証明、10万バーツ超50万バーツ以下の場合は民事訴訟による手続き、50万バーツ超の場合は民事訴訟を起こし和解成立についての裁判所の承認が必要です。

 

・経過勘定処理

会計上の収益、費用は発生主義に基づき計上します。例えば、12月決算の会社で当期の12月の費用にかかるインボイスが翌期の1月に到着した場合、当期の費用として未払費用を相手勘定として計上します。このように経過勘定として前払費用、前受収益、未払費用、未収収益をそれぞれ計上する必要があります。

 

 

また、法定監査の指摘事項は上記の決算整理事項とも関わりますが、特にタイにおいては例えば以下の点に留意が必要です。

 

・親会社との費用付替え処理

親会社で立替をしている支払いについては、年次決算で精算をしておく必要があります。実際の支払いが翌期となる場合でも、費用計上と未払費用の計上が必要となります。日本の決算にもかかわるところですので、日本本社と連携して確認が必要です。

 

・親子ローン処理

親子ローンに限りませんが、借入金がある場合には、元本・利息の返済・支払い処理や利息の費用計上が必要です。年次決算では利息の支払いをしていない場合でも、利息費用を計上します。さらに、借入金の通貨がバーツ以外の場合には、為替差損益の計上の可能性がありますので、早めに計算をして最終損益への影響を把握することをお勧めします。

 

・固定資産管理と計上基準

タイの固定資産計上については、原則1年以上使用するものは金額に関わらず固定資産計上ですので、留意が必要です。実務上は3,000バーツなどを基準にしていることもありますが、使用する期間が優先されますので、監査人により修正の指摘を受けることがあります。

 

・棚卸資産減耗の取扱

棚卸資産が実際の在庫と簿価で差異が生じる場合には、棚卸差異の損益で処理をすることが一般的に多くなります。ただし、棚卸減耗については税務上損金不算入であるという点にも留意が必要です。さらに、税務調査でみなし売上のVATの追徴を受けることもあります。

 

 

上記のように特に指摘が入りやすいポイント、自社の取引で金額・割合的に影響の大きい取引については、どのように処理されているか、ペンティング事項がないかを早めに把握しておくことが大切です。

 

また、年次決算業務を進めるにあたっては、使用する会計ソフトの影響も大きいかと思います。タイの会計ソフトとしてExpress, Quick Booksなどが一般的ですが、ソフトの設定としてタイ語、英語の設定があります。日系企業では英語で設定しているケースが多くなっており、タイ人スタッフの英語力が足りずに英語の勘定科目を混同してしまい、年次決算で残高整理に時間がかかることもあります。また、日本人が決算書の中身を損勘定元帳などで確認をする際に、慣れない英語・タイ語での確認でスタッフとの連絡がスムーズに進まない、ということもあります。

 

弊社の会計ソフトBridge Noteは、クラウド型会計ソフトで、日本語、タイ語、英語に対応しています。タイ人スタッフはタイ語の勘定科目で入力し、日本人は日本語で確認が出来ます。日本の経理の方が日本本社のパソコンから、日本語で決算書及び帳票の確認が出来ますので、決算をスムーズに対応するためのツールとしてご活用いただいています。

 

なお、年次確定申告の申告書はタイ語、また監査報告書もタイ語となっています。会計ソフトの設定や月次決算書のエクセルデータでは英語を使用している場合にも、監査報告書作成時には会計監査人によるタイ語の監査報告書の作成が必要です。

 

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BM Accounting Co., Ltd.

BM Legal Co., Ltd.

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米国公認会計士(inactive)

社会保険労務士

長澤 直毅

 

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