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売掛金が回収できない場合や従業員が回収代金を横領した場合の会計税務、労務上の取り扱いについて

今回は売掛金が回収できない場合や従業員が回収代金を横領した場合の会計税務、労務上の取り扱いについてです。タイの景気は昨年末あたりから後退傾向にあり、今年のGDP成長率は3%前半と予想されています。景気が悪化してくると会社も個人も金周りが悪くなりますので、少なからず売掛金が回収できないケースや回収した代金を従業員が横領するようなケースが出てくる可能性が高くなることと思います。どのようなケースで貸倒損失処理が出来るのかをパターン別にまとめてみました。

 

日本では担保等がなく、督促を行っても回収が不能である場合や当事者間での債務免除の書面を作成した場合などで客観的に支払い不能であることが認められる場合(通常決算書なども保管)には貸倒損失として税務上も損金処理することが出来ます。

 

日本で営業をされていて回収不能なケースがあり経理の方と相談の上で、一定の書類を用意して貸倒損失として処理されたことがある方が、タイで同様に貸倒損失として処理をする場合に戸惑われるケースが多く見受けられます。

 

タイにおいては金額に応じて必要な手続きが変わってきますが、社内や当事者間での書類準備だけではなく、裁判手続きが必要となる場合があります。

 

・10万バーツ以下の場合:督促の証明および弁護士による意見書(回収代金よりも裁判費用が高くなる旨)

・10万バーツ超50万バーツ以下の場合:民事訴訟手続きおよび会社代表者による貸倒損失処理の承認にかかる依頼書

・50万バーツ超の場合:民事訴訟手続きおよび裁判所による和解成立

 

債務者の死亡や破産に伴い、残っている債務の弁済が出来ないことが証明できる場合にも貸倒損失処理を行うことが認められています。

 

従業員が顧客から代金を回収し、会社に代金を戻さなかった場合は貸倒損失処理は出来ず、一旦会社が代金を行い、それを従業員が横領したという処理を行います。従業員が横領をした場合、保険等により補償がされる場合には預金等にお金が戻るため、費用処理は不要となります。保険等による補償がされない場合や補償により全額が補てんされない場合には、全部または一部を費用処理することが出来ます。

 

また、一定の貸倒損失のリスクに備えて貸倒引当金を計上するケースがありますが、会計上引当金を計上することは出来ますが、税務上は引当金計上時には損金計上が出来ないため、税務申告で調整が必要となります。上記の貸倒損失にかかる要件を満たしていない場合も、会計上は貸倒損失で計上することは出来ますが、税務上は損金不算入費用として計上されます。

 

極論にはなりますが、架空の売上を立てて後日貸倒損失を計上して損金不算入費用として処理する場合、当該売上の分だけ法人税を多く収めることにもなりかねません。特に売上ベースで従業員にコミッションを支払っている場合には、架空売上を立てることのインセンティブになってしまう可能性がありますので、コミッションの決定には回収状況も加味する必要があります。

 

なお、上記のように社員が回収した代金を横領したような場合には、顧客に協力してもらい支払いの証明を入手するなど横領の証拠を押さえておく必要があります。横領であることが明確である場合には、労働者保護法119条に基づき解雇補償金、事前予告補償金、損害賠償などの支払いをせずに懲戒解雇することができます。また、時間・労力がかかるなど裁判手続きのハードルはあるものの、横領被害額について損害賠償請求をすることも可能となります。

 

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BM Accounting Co., Ltd.

BM Legal Co., Ltd.

President

米国公認会計士(inactive)

社会保険労務士

長澤 直毅

 

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