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労働条件の不利益変更時の進め方

今回はタイでの労働条件の不利益変更時の進め方についてです。不利益変更が難しいといわれることが多いですが、具体的にどのようなステップを取る必要があるのかについてまとめてみました。

 

まず、労働組合や労働福祉委員会があり従業員代表として協議可能な場合とそうでない場合によって対応が異なります。日本でもそうですが、一定の割合を満たした労働組合・労働福祉委員会と協議をすることで、その組合等と合意した内容(労使協約)が全従業員に適用される、という考え方があります。タイでは、労働関係法(労関法)19条で以下のように規定されています。

 

労関法19条

第1項 労使協約は使用者と、要求書に署名、交渉に参加した従業員代表者の選出に関係した従業員を拘束する。

 

第2項 使用者または使用者委員会と同一業種で働く全従業員の3分の2以上が組合員である労働組合または要求書に関係した従業員が全従業員の3分の2以上である場合、その労使協約は、使用者と同一業種で働く全従業員を拘束する労使協約とみなす。

 

つまり、労働組合が全従業員の3分の2以上で構成されている場合や、労働福祉委員会との交渉時に全従業員の3分の2以上の代表として協議している場合には、組合等と合意した内容を全従業員に適用することが出来ます。

 

冒頭の話しに戻り会社が労働条件の不利益変更を行う場合の取り扱いについては、従業員の同意の上を得て進める必要があります(労関法13条、20条)。上記のように全従業員の3分の2以上で構成される組合等との協議により不利益に内容の合意を得ることが出来れば、全従業員に労働条件の改定を適用することができます。

 

ただし、従業員代表となる組合等が存在しない場合には、従業員から個別に同意を得ていく必要があります。この同意が得られない場合には、同意を得ていない従業員には従前の労働条件を適用する必要があると考えられます。例えば、以下のような判例があります。

※状況、判決は公開されている判例から抜粋し、編集しています。また判決は最高裁のものとなります。

 

<状況>

会社は就業規則の労働日、労働時間を改定した際に、6名の労働者から改定の合意を得られずに改定手続きを進めた。改定後の労働日、労働時間に従って出社をしなかった6名を会社の命令違反として解雇補償金及び民法上の補償金を支払ったうえで解雇した。<最高裁判決No.17010-17015/2558>

 

<判決>

労働者にとって不利な労働条件の改定にあたっては、労関法13条に基づき労働者からの合意を得なければならない。当該労働者は労働日・労働時間の改定に同意していないため、当該労働者には改定された労働日と労働時間は適用されない。従って、当該解雇は不当解雇である。

 

<コメント>

この判例のケースでは、全従業員の3分の2を代表する組合等がなく、個別の同意が必要であったと考えられます。従業員不利な労働条件の変更については労働者の同意が必要であり、非常にハードルが高くなります。最初の就業規則作成時に留意するとともに、改定時には同意を得てから発効するように注意して対応する必要があります。

 

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長澤 直毅

 

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