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タイの雇用契約締結時の保証人の設定について

今回はタイでの従業員への保証金と身元保証人の設定についてです。タイで横領や不正があった場合や会社の資産に損害を与えた場合などに、従業員本人の給与水準や預金額から損害額の回収を行うことが難しいケースがみられます。そのような場合の対応方法としては、従業員から保証金を預かる、あるいは身元保証人を設定する、という方法が考えられます。日本でも雇用契約を締結する際に身元保証契約を締結するケースがみられますが、タイでも保証人の設定は可能です。

 

まず、労働者に保証金を要求することは労働者保護法で原則禁止とされていますが、以下のような一定の役職・職種に限り認められています。保証金を要求する場合には、職務内容と保証の内容を明確にする必要があります。また、保証金を設定する場合の上限金額は給与の2ヵ月分(60日分)までとなっています。

 

・経理(主任以上)

・出納係

・債権管理

・自動車の管理

・販売、購買、為替、リース、融資、倉庫管理、銀行担当など

 

次に保証人の設定は、雇用契約の締結時や入社後定期的に身元保証契約を締結することで保証人の設定をすることが可能です。参考として、保証人の有効性についての訴訟を取り上げたいと思います。

 

<状況>

1998年5月に原告である会社は被告A(労働者)を商品の販売、代金回収などを行う販売スタッフとして採用した。会社は被告Aと雇用契約を締結する際に、被告BおよびC(保証人)と身元保証契約を締結した。当該契約書には、「身元保証人となることに同意し、労働者が雇用契約の期間中、現在または将来の職務において会社に損害を与えた場合には、連帯して保証する」旨明記されていた。2001年6月に被告Aは店長となった際に、会社は被告BおよびCと新たな身元保証人契約を締結しており、店長となった後も顧客からの代金回収業務に従事している。会社は、被告Aが顧客から回収した代金18,500バーツを会社に収めずに横領したため、被告A,BおよびCに代金および金利7.5%/年を要求して提訴した。<最高裁判決No.3464/2561>

 

<判決>

被告BおよびC(保証人)は被告Aが労働者の現在および将来にわたって会社に与える損害について、被告Aと連帯して責任を持つことに同意している。店長となった後も被告Aは代金の回収に従事をしており、被告BおよびCは被告Aと連帯して会社の損害に責任を負う。

 

※「状況」、「判決」は公開されている判例から一部抜粋し、編集しています。また判決は最高裁の判決となります。

 

<コメント>

身元保証契約で、保証する損害の内容について明記することで有効性が高まるものと考えられます。また、役職・職務の変更があった場合にはその都度身元保証契約を締結することで、役職・職務の変更後は無効であると主張を退けることができると考えられます。

 

なお、日本では身元保証法で保証期間は特段期間を定めない場合は3年、身元保証契約で期間を定める場合には最長で5年間までとなっています。一方、タイでは保証期間の定めはありません。ただし、保証内容や保証が想定される金額などは雇用期間の経過とともに変わる可能性がありますので、3-5年程度に一度は身元保証契約の更新を行っておくのが望ましくなります。

 

 

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長澤 直毅

 

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