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タイで社会保険料を支払っている外国人への給付

今回はタイの社会保険を支払っている外国人の給付についてです。タイの社会保険料を支払っている外国人に対して、老齢年金の支払いに関する規定が出来ましたが、実態をみると給付を受けられるケースは限られそうです。社会保険料の掛け捨てという問題はどの国でもありますが、不公平感が拭えないものですので、できるだけ解消されることを願います。

 

外国人がある国の社会保険に加入している場合、社会保険のメリット(給付)を受けることが出来るか、という点が重要になります。保険料を支払っているが給付を受けることが出来なければ、掛け捨てになってしまい、ただのコストと考えられるためです。例えば、日本の社会保険の適用事業所で働く外国人も、その国籍に関わらず健康保険、厚生年金の被保険者となります(加入して保険料を支払います)。健康保険は日本人同様に病院で使うことが出来ます。厚生年金の老齢年金は、原則25年以上の加入期間が必要となり、数年間働き母国に帰る場合には日本の老齢年金を受けることが出来ません。これを救済する制度は2つあり、1つが社会保障協定です。例えばアメリカと日本では社会保障協定を締結していますので、日本で働くアメリカ人が日本の社会保険料を支払った場合、アメリカの社会保障制度の年金の加入期間として通算することが出来ます。もう1つは、脱退一時金で、日本の厚生年金の加入期間が6カ月ある場合で母国に帰る場合、一定の金額の返金を受けることが出来ます。また、社会保障協定を締結している国に赴任する場合に、そもそも母国の社会保険に加入していれば赴任する国の社会保険料は支払わなくてもよい、ということで2重加入を防いでいる場合もあります。

 

では、タイの場合どうかというと、タイの企業で取締役として登記している場合(登記簿上で取締役として名前がある場合)には、タイの社会保険は原則未加入となります。一方で取締役ではない場合には、国籍に関わらず加入となります。タイの社会保険は大きく健康保険、老齢年金、失業保険に区分されます。保険料計算時の賃金の上限額は月15,000バーツとなりますので、本人、会社の合計で毎月900バーツ(15,000バーツ×6%)となります。

 

 

保険料負担率
(賃金に対する%)

保険の種類

給付内容

本人

会社

政府

健康保険

傷病、障害、出産、死亡

1.5

1.5

1.5

老齢年金

老齢年金

3

3

1

失業保険

失業保険

0.5

0.5

0.3

合計

5

5

2.75

 

2017年1月から適用の新しい規定で、外国人の中で社会保障協定締結国の人については、老齢年金の支給開始年齢(55歳)に関わらず、今後タイに居住する予定がない宣誓書とビザ、ワークパーミットキャンセル証明書、タイから出国時の航空券を提示することで支払った保険料と同額程度の返金を受けることが出来る、とされました。ただし、上記の社会保障協定締結国は現状存在せず、当然日本も締結をしていません。今後社会保障協定が締結される可能性はありますが、当面は日本人の社会保険(のうち老齢年金)の保険料については掛け捨てという状態が続くということになります。日本からの出向者の多くは社会保険料は会社が負担しているケースが多いかと思いますので、その状況にも変更はないこととなります。日本の制度のように社会保障協定と脱退一時金の2つでデメリット(掛け捨て)にならないように対処するのとは異なり、社会保障協定加入国という実質存在しない外国人を対象とする脱退一時金の規定は、これから協定を締結していく意思のようにも思いますし、基本的には脱退一時金を支払いません、ということのようにも捉えられます。

 

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米国公認会計士(inactive)

社会保険労務士

長澤 直毅

 

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