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採用取り消しと退職の取りやめにかかる判例

今回は採用取り消しと退職の取りやめにかかる判例についてです。タイでは、離職率が高く、頻繁に転職をするケースも見受けられます。企業の採用は、書類選考や面接を経て行われますが、会社の都合で採用を取り消さなければならないケースもあるかと思います。タイでは現職がある状況で面接をして、新しい会社からオファーをもらってから現職に退職の届け出(通常1-2カ月後)を提出します。そこで、新しい会社からのオファーをキャンセルされてしまった場合には、現職に届け出た退職届を取りやめたいというケースも出てきます。

 

そこで今回は、(1)自社でオファーをして雇用契約を締結したけれども何らかの事情で採用を取りやめたい場合、(2)社員から退職届の提出があり受理していたが(新しい会社からのオファーのキャンセルなどの事情で)退職のとりやめの希望をされた場合、それぞれに関する判例をみてみたいと思います。

 

(1)オファーをして雇用契約を締結したけれども何らかの事情で採用を取りやめたい場合にかかる判例

<状況>

会社と候補者で月給62,000バーツ2月1日からの入社を合意し、候補者は前の会社を退職した。会社は1月18日に雇用出来ない旨候補者に通知した。<最高裁判決No.4755/2556>

 

<判決>

会社が候補者との入社の合意をしたため、候補者は前の会社を退職した。前の会社の退職、採用取り消しに伴い仕事・収入を失ったため、会社は620,000バーツの損害賠償金を支払わなければならない。

 

<コメント>

この判決では、会社に採用取り消しにかかる損害賠償として、月給10カ月分の支払いを命じています。正式に採用の合意をした後の取り消しについては、損害賠償の支払い対象となる可能性が考えられます。基本的には本人が納得するかどうかによって変わってきますが、訴訟になると収入保証にかかる損害賠償金が発生する可能性もあることを念頭にオファーは出していただく必要があります。

 

 

(2)社員から退職届の提出があり受理していたが退職のとりやめの希望をされた場合にかかる判例

<状況>

社員が転職を理由に、11月10日に12月1日付の退職届を出し、会社は受理した。同社は当該社員が所属していた法務部の人員がいなくなったことを受けて法務部を廃止した。当該社員は、退職後に退職の理由が部署の廃止に伴うものであるとして、会社に対して退職届の取り消し、ないしは退職にかかる補償金、事前通告補償金の要求をした。<最高裁判決No.4756/2556>

 

<判決>

社員の雇用契約解除の意思表示は、会社に退職届を提出した日をもって法的な拘束力が発生し、民商法典386条2項に基づき、取り消すことは出来ない。また、当該退職は本人の意思に基づきなされたもので、会社による解雇ではないため、会社は解雇補償金、事前通告補償金を支払う必要はない。

 

<コメント>

この判決では、転職を理由に退職届を出した従業員が、何らかの事情で転職できなくなった場合などに、退職の取り消しを求めても取り消す必要はないことを示しています。また、退職届を提出している場合には、他の理由による退職と取り扱われることはないと考えられます。前の判例のように退職を取り消された場合であっても、一度退職届を出している以上、自社としては退職の取りやめを受け入れる必要性はないと解釈できます。あとは自社でスタッフの必要性や新しいスタッフの補充の有無などの観点から取りやめるかどうかを判断することになるかと思います。

 

上記「状況」、「判決」は公開されている判例から一部抜粋し、編集しています。また判決は最高裁の判決となります。

 

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米国公認会計士(inactive)

社会保険労務士

長澤 直毅

 

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