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有期雇用契約を締結する際の留意点

今回はタイで有期雇用契約を締結する際の留意点についてです。契約書内容、契約の解除や更新の際の対応に留意が必要となります。

 

タイでは無期雇用契約(期間の定めのない雇用契約)の場合には、契約を解除する際には1賃金支払い期間(給与支払日及び解雇予告日により異なり、通常1-2カ月程度)の解雇予告が必要となります。一方、いわゆる契約社員で有期雇用契約(期間の定めのある雇用契約)の場合には、労働者保護法17条に基づき解雇予告をせずに契約を終了することが可能です。

 

ただし、有期雇用契約であっても、無期雇用契約とみなされるケースがあります。例えば、会社側が中途で自由に雇用契約を解約する権利を有すると考えられる場合や、契約の更新を複数行っていて常態化しているような場合です。このように無期雇用契約とみなされる場合には、解雇予告が必要となりますので注意が必要です。有期雇用契約を締結していたものの無期雇用契約とみなされた、以下のような判例があります。

※下記の<状況>、<判決>は公開されている判例から一部を抜粋し、編集しています。また判決は最高裁のものとなります。

 

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<状況>

会社は2年以内の有期雇用契約の契約満了後に繰り返して更新しており、また雇用契約書には「一方が契約解除を希望する場合、相手側に30日以上前に書面で通知しなければならない」との文言がある。この状況で会社は契約期間の満了をもって契約終了としたが、社員は実態は有期雇用ではないとの訴えを申し立てた。<最高裁判決No.6142-6144/2555>

 

<判決>

雇用契約書では有期雇用契約と記載されているものの、 「一方が契約解除を希望する場合、相手側に30日以上前に書面で通知しなければならない」との文言があり、会社と従業員の双方が事前通知による契約解除の権利を持っており、雇用契約期間は不確定なものと考えられる。また、実態として契約の更新が繰り返されており、本契約は有期雇用契約ではなく無期雇用契約とみなされる。

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上記のように、有期雇用契約としている場合でも、契約解除通知の文言を入れて実態として更新を繰り返している場合には無期雇用契約とみなされるケースがあります。有期雇用契約として締結する場合には自動更新の文言は含めずに契約更新時には面談、社内稟議など更新のための手続きを取り記録を残しておくことをお勧めします。

 

なお、有期雇用契約であっても原則としては労働者保護法119条に規定する解雇補償金を契約終了時の勤続期間に応じて支払う必要があります。雇用契約書で雇用期間が2年以内で規定されており、かつ特別・臨時的・季節的な業務等に従事する場合に限り、労働者保護法118条に基づき解雇補償金の支払いが不要となっています。ただし、特別な業務等には該当せずに解雇補償金の支払いを要するケースのほうが一般的となります。

 

有期雇用契約を締結する際には、雇用契約の内容と運用方法につき、上記の点に留意頂ければと思います。

 

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長澤 直毅

 

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