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労災保険の保険料と給付

今回は2018年12月11日に改正された労働者災害補償法についてです。2017年2月に労働者災害補償基金(労災保険)の保険料と給付について取り上げていますので、そちらに改正情報を更新致します。2017年10月の改正や最低賃金に伴う変更箇所も取り上げております。

 

タイでは、社会保険制度として、Social Security FundとCompensation Fundの2つがあります。前者が健康保険、後者が労災保険という位置づけになっています。1名でも従業員がいる場合に適用となりますので、会社を立ち上げて最初の従業員を雇用すると社会保険の登録をしますが、この時に労災保険も同時に加入します。

 

日本では、労働保険料の年度更新として、4月1日~3月31日の期間の賃金総額にかかる保険料の申告を6月1日~7月10日までに行います。ここで前年度の確定保険料の精算と当年度の概算保険料の申告・納付をします。

 

一方タイでは、1月1日~12月31日が対象期間で、当年度の見積もりを1月31日までに申告・納付します(Kor Tor 26)。確定保険料の申告・納付・還付は2月末までとなっており、見積もりの保険料申告・納付とタイミングが異なっています(Kor Tor 20)。なお、はじめて従業員を雇用した際には、社会保険登録時に最初の概算保険料の納付を行います。

 

労災保険料の料率は業種によって異なり、0.2%~1.0%となっています。例えば、その他サービスのように労災事故の頻度が少ない業種では、0.2%となっています(過去3年間の労災保険からの給付実績に応じて保険料率の増減があり、最も低い場合0.1%まで下がります)。

 

保険料を計算するときの賃金総額は、社会保険に加入する全従業員の給与が対象となります。取締役で社会保険に加入していない人の役員報酬・給与は対象外です。また、1人あたりの賃金が上限240,000バーツ(1カ月あたり20,000バーツ)となりますので、月給20,000バーツ超の場合は、一律20,000バーツとして計算されます。なお、社会保険料や労災保険料の計算時の1バーツ未満の端数は、四捨五入(0.50バーツ以上は切り上げ、0.50バーツ未満は切り捨て)します。

(改正)

従来は3%/月であった保険料納付遅延時の延滞金が2%/月に改正されました。また、これまでは延滞金額の上限額は設けられておりませんでしたが、本来支払うべき労災保険料額が延滞金上限とされました。

 

次に労災保険の給付ですが、以下のように傷病、障害、リハビリ、死亡と大きく4つの区分に分かれています。

 

■傷病にかかる給付

軽傷の場合:50,000バーツまで

重傷の場合:100,000バーツまで

複数の傷病がある場合:合計1,000,000バーツまで

(改正)

2017年の改正で、複数の傷病がある場合で一定公立病院での終始治療のような場合で治療が必要であると認められる場合には、200万バーツを上限として治療が終わるまでの医療費実費相当額を支払うことと上限の引き上げが行われています。さらに今回の改正で治療が完了するまでとして金額上限が撤廃されています。

 

■障害にかかる給付

軽度の障害の場合:月額給与の60%(上限12,000バーツ/月) 最長1年間

重度の障害の場合:月額給与の60%(上限12,000バーツ/月) 最長10年間

今後の就労が不可な場合(より重度の障害):月額給与の60%(上限12,000バーツ/月) 最長15年間

(改正)

いずれも「月額給与の70%(上限14,000バーツ/月)」に改正となります。従来は障害を負った3日目以降について給付がされていましたが、障害を負った当日からの給付に変更となりました。また、重度の障害の場合の給付が最長15年から15年以上に変更されています。

 

 

■リハビリにかかる給付

治療上(低度)のリハビリ:24,000バーツまで

手術上(高度)のリハビリ:40,000バーツまで

(改正)

リハビリにかかる給付は一律40,000バーツまでに引上げられています。

 

■死亡にかかる給付

死亡一時金:最大100日分(上限300バーツ/日)

死亡年金:月額給与の60%(上限12,000バーツ/月) 最長8年間

(改正)

死亡一時金の上限は2018年4月からの最低賃金引上げに伴い、330バーツ/日×100日分=33,000バーツが上限でしたが、40,000バーツに引き上げられました。死亡年金は「月額給与の70%(上限14,000バーツ/月)」に改正となります。また、給付の最長期間は10年間に延長されました。

 

給付の上限などをみると、金額が少ないと感じるかもしれませんが、これは上記のように保険料計算時の上限が月給にすると20,000バーツであるためで、その水準までの給付となっています。そのため、これを上回る給付を行うために、会社で別途民間の保険に加入しているケースもみられます。

 

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米国公認会計士(inactive)

社会保険労務士

長澤 直毅

 

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