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タイとベトナムでの経歴詐称

今回はタイとベトナムでの経歴詐称についてです。いずれのケースも労働法の特徴や実際の運用に配慮をしながら、入社前の事前確認、発覚後の早期アクションが大切となります。タイでも理不尽に思える判例は見受けられますが、ベトナムはさらに労働者寄りな法制度になっている印象があります。労務問題の対応については、現場対応もさることながら、日本本社側の理解もとても重要だと感じます。

 

まず、タイにおける経歴詐称にかかる判例を取り上げたいと思います。

※状況、判決は公開されている判例から抜粋し、編集しています。また判決は最高裁のものとなります。

 

<状況>

セールススタッフのマネジャーであった労働者が大学中退であるところ、学卒と偽っていたことが後日判明した。また、友人に自動車を原価割れで販売したことも判明し、2つの理由により就業規則違反として懲戒解雇した。<最高裁判決No.1904-1905/2558>

 

<判決>

販売原価を知る立場にあったにも関わらず、友人に原価割れの販売を行ったことは、会社に意図的に損害を与える行為であり重大な過失である。従って、懲戒解雇は認められ、解雇補償金を受ける権利はない。

<コメント>

この判決では、中央労働裁判所の判決では意図的に損害を与える行為ではないとされています。販売原価を知っていたマネジャーという立場であったことから、最高裁では判断が覆ったものと考えられます。なお、学歴詐称については、判明したのが1年超経ってからという理由で、既に能力が認められておりこれをもって就業規則違反とはいえないという中央労働裁判所の判決が追認されています。

 

入社して早いタイミングで経歴詐称が発覚すれば、採用の取り消しや解雇事由として使うことができると考えられますが、期間が経ってしまうと会社側に不利に取り扱わせる可能性が高くなります。

 

労働法は、英米系の判例法(コモン・ロー)、大陸系の制定法(シビル・ロー)のいずれかをベースにしているか、国独自に制定しているかのいずれかになります。タイはシビル・ローをベースにしていると考えられており、一方のベトナムは独自の法体系となっており、特に労働法は会社に厳しい法律となっています。

 

そのためベトナムの労働者保護の傾向が強く、会社側の都合で解雇することは清算や特定の場合の整理解雇以外の理由では非常に難しくなっています。例えば、経歴詐称を理由とした採用の取り消しや解雇そのものが法律上難しくなっております。期間経過によるところについては、ベトナムでは調停の場合は発見日から6カ月以内、裁判所への提訴の場合は発見から1年以内となっていますので、発見後早期に手続きを進める必要があります。

 

従って、タイ・ベトナムいずれの国でも面接時点の経歴確認、卒業証明の真偽の確認と経歴詐称などが発覚した後には早期に手続きを取ることが大切となります。

 

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長澤 直毅

 

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