ビザ・ワークパーミット取得時のタイ人4人雇用が困難な場合の対応
今回はビザ・ワークパーミット取得時のタイ人4人雇用が困難な場合の対応と緊急業務の際の労働局への届け出ついてです。
タイで就労する場合には、原則としてノンイミグラントBビザ(以下Bビザとします)とワークパーミットの取得が必要となります。BOI企業を除くと外国人1人につきタイ人4人の雇用が必要とされています。タイ人4人の雇用を証明する書類として、通常個人所得税や社会保険料の納付証を提出します。ただし、これは移民局でBビザを延長する要件となりますので、ワークパーミット取得時は不要となります。そのため、以下のような運用が可能となります。
例)
1.日本のタイ大使館・領事館でシングル・Bビザを取得
2.タイ入国後ワークパーミットを取得、Bビザに再入国許可を付与(当初のビザはシングルのため出国すると失効しますが、再入国許可を付与することで最初の入国から90日間は出国しても失効しません)
3.当初のシングル・Bビザの失効後、次回の入国前にタイ大使館でマルチプル・Bビザを取得(ワークパーミット保有者は通常マルチプルビザの申請が可能です。)
4.以降、90日のビザ失効ごとに日本でビジネスビザを申請し、ワークパーミットは通常通り更新します。
※海外でのBビザ申請は日本としていますが、他国でも可能です。
この手順をとることで、タイ人4人の雇用なくワークパーミット、Bビザを保有することができます。ただし、ワークパーミットにタイ人の雇用が少ないことに関する理由や業務の制約にかかる記載が入るケースもあり、労働局の判断によっても変わりますのでご留意ください。
次に、労働局への緊急業務の届け出についてです。本来は就労とされる行為をする限り、短期間であってもワークパーミットの取得が必要となります。ただし、緊急かつ短期の場合には、Tor.Tor.10という書式を労働局に届け出ることで済ますことも可能です。これは緊急の業務を15日以内で行う場合に、同書式に記載してファックス・メール・窓口で提出することでワークパーミットの取得が不要となる制度です。以前は年間で3回までという制限がありましたが、2015年からは年間の上限がなっています。
また、2017年6月29日発行の官報で対象となる業務内容の変更にかかる通達がありました。具体的には、以下の業務であり緊急かつ短期間の業務が対象となります。
- 会議、研修、セミナーの準備
- 特別な学問にかかる講義
- 航空事業の支援
- 内部監査業務
- 技術的問題の監視及び解決
- 製品または品質の検収
- 製造工程の監査または製造工程の変更
- 機械装置、電機機械の製造システムの検査または修理
- 機械装置の据え付けまたは修理
- 電気自動車システムにかかる技術支援
- 航空機技術者による支援または航空機設備システムにかかる業務
- 機械装置またはコントロールシステムの修理・助言
- 機械装置のテスト
- 映画・写真撮影
- 海外就労にかかる人事選考
- 海外就労にかかる技術選考
就労・出張時の業務内容や期間に応じて、適宜Bビザ・ワークパーミットの申請や緊急業務の届け出をして頂ければと思います。
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米国公認会計士(inactive)
社会保険労務士
長澤 直毅
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