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親子ローンと返済免除

今回は親子ローンと返済免除についてです。

 

タイにある日系企業は、駐在員のワークパーミット取得のため、資本金は200万バーツ以上で設定しているケースが多くあります。ところが、資本金だけでは資金が足りずに追加で送金するケースがあります。このような場合、資金の追加が事業拡大の追加投資として考えるか、一時的な資金不足の補てんと考えるかによって、増資か借入のいずれかを決めます。また、会計・税務、法務上の取扱いの違いについても把握することも必要です。

 

法務上の取扱いとして、増資をする場合には登記上の変更が必要となりますので、株主総会を開催(もしくは定時総会の議題に追加)して、商務省に届け出をします。借入の場合には、登記上の変更は不要となります。

次に会計上の取扱いとして、増資の場合には資本の増加となり、返済が不要となります。借入の場合は期間に応じて流動負債もしくは固定負債として計上し、元本の返済及び利息の計上・支払いが必要です。

 

借入の場合には、外部(金融機関等)から調達するか親会社などの関連会社から借入をするかに分かれますが、日本のほうが調達金利が低いこと、またタイでは過小資本税制(資本に対して借入金が一定の比率を超えると、借入金にかかる支払利息が一部損金不算入と制限される制度)がないということもあり、親会社からの借入(親子ローン)をする企業が多くなっています。

 

借入は一時的な資金不足の支援という位置づけになりますので、通常は黒字になり、資金に余裕が出てきた時期に返済をすることになりますが、親子ローンを返済せずに親会社から返済の免除をしてもらうケースがあります。タイの子会社としては、返済をする必要がなくなりますが、一方で以下の通り税金が増える可能性があります。

 

親子ローンの返済免除をすると、以下のような会計処理を行います。

(借)短期/長期借入金 THB xxx/(貸)返済免除益 THB xxx

 上記の通り、債務免除益(収益)として計上するため、法人所得税の年次申告(P.N.D.50)を行う際に益金に算入し、法人所得税が増加します。

 

例えば、親会社からの借入金THB200万の返済免除を受けた場合、

(借)短期/長期借入金 THB200万/(貸)返済免除益 THB200万

という会計処理を行います。

タイの法人所得税率は20%(2017年4月時点)となりますので、THB200万×20%=THB40万が税金として増えることになります。当期が税務上赤字だった場合 には、税金の支払いはありませんが、繰越欠損金が少なくなりますので、その分に将来の税金が増える可能性があります。

 

なお、親子ローンにかかる支払利息も併せて免除した場合、その他の負債(外部からの借入金、買掛金、未払金など) の支払いが免除となった場合、不要となった場合にもどうように収益計上となり、税金が増加します。一方、日本では債務免除にかかり損失計上をしますが、こちらも債務免除が妥当と認められなければ、損金とならない可能性も考えられます。

 

増資の場合には借入金とは異なり返済はされませんが、配当にかかる源泉税や法人税はかかってくるものの、利益が出れば配当として株主(通常親会社)に還元が出来ます。追加の資金を補てんするというと親子ローンをよく聞きますが、将来資金を返済しない、あるいは出来ない可能性がある場合には、増資を検討することをお勧めします。

 

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米国公認会計士(inactive)

社会保険労務士

長澤 直毅

 

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