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タイの給与計算のポイント(日本との違い)について

今回はタイの給与計算のポイントについてです。本来であれば4月の人事異動で駐在の方が入れ替わり、3,4カ月たってようやく慣れてくるタイミングですが、今年は新型コロナウイルスの影響で駐在予定の方の入国ができずに、これから入国される方や、駐在員の入れ替え時期を1年ずらす企業なども出てきています。タイに駐在されたばかりの方やこれから駐在される方は特に日本との違いについて確認する際の参考にして頂ければと思います。既に駐在されている方はタイの給与に関する法律や制度の背景について改めてご参考頂ければと思います。

 

まず、タイの給与計算の特徴の一つとして、支給日があります。日本では会社としての資金繰りの関係などもあって翌月支給が一般的に多いですが、タイでは当月支給のほうが多くなっています。家賃や公共料金の支払いなどを考慮して、できるだけ早めに給与を支給して欲しいという要望が強かったことでそれが習慣化したものと考えられます。法律では当月支給が必須ではありませんので翌月支給とすることも可能ではありますが、一般的には翌月支給にすると当月支給に変更してもらうように依頼されるケースもみられます。

 

基本給、役職手当、残業手当など手当の体系としては日本とも大きく変わりませんが、特に製造業や輸送業などでは皆勤手当を設けて遅刻や年間30日間取得可能な有給の傷病休暇を取得した場合には皆勤手当は支給しない、というような工夫をされているケースも多くあります。また、最近は通勤手当を支給するケースも増えてきましたが、もともとはあまり通勤手当を支給するケースは多くありませんでした。

 

月給の従業員の残業と欠勤控除の日割り計算の場合には30日を分母とすることも特徴的なところかと思います。労働法のベースとして週休日にも給与が払われているという考え方がありますので、30日を分母として計算をすることになっています。例えば法定の休日の割増賃金の料率は2倍となっていますが、月給者の場合にはベースの1倍部分は月給に含まれているため、実際の追加の支払いは残りの1倍部分だけであるなどの対応が一般的になります。なお、これらの条件よりも良い条件とすることは可能ですので、残業代の計算の分母を25日など少なくし結果的に残業代が多くなったり、月給者の休日の割増賃金が2倍で支払われるケースもみられます。ただし、本来の法定の基準や背景を知らずに多く支払っているケースもみられますので注意が必要と思います。

 

所得税と社会保険の考え方について、日本とは大きく異なる点があります。個人所得税について、日本では当月の支給金額から税額表にあてはめて当月の所得税を算出します。社会保険については毎年4-6月の給与等に基づく算定基礎届けで年間の社会保険料が固定します(大きく変動する場合には月額変更届けによる変更する場合もあります)。つまり、個人所得税は毎月計算しなおし、社会保険は毎月同額というイメージです。一方でタイでは個人所得税は年間の所得から年税額を算出しそれを月数で按分します。また社会保険料は毎月の給与金額に応じて保険料を算出します(実際には算出時の給与上限が15,000×で保険料率が5%であるため、750バーツずつ会社と本人で負担するケースが多いです)。つまり、個人所得税は毎月ほぼ固定で、社会保険料は給与額により変動と日本とは逆の仕組みになっています。

 

また、今年や来年は新型コロナウイルスがあって、給与関係について減給、昇給や賞与を抑えたい、といった相談も増えています。減給については不利益変更にあたりますので、最低限同意の取り付けが必要になってきます。減給する際には基本給だけなのか、手当も含めて対象とするのか、その場合どの手当を対象とするのかを明確にする必要があります。昇給や賞与については、法的には必ず昇給しなければならない、最低何カ月分の賞与を支払わなければならない、というものではありません。ただし、雇用契約書や就業規則で最低何パーセントの昇給をする、あるいは最低何カ月の賞与を支給する、などを明記してしまっている場合には、昇給しない、賞与を支給しない場合には不利益変更になると考えられます。

 

以上のように日本とタイでは給与計算に関する法律や習慣で異なる点が実はたくさんみられます。タイに駐在されたばかりの方やこれから駐在される方は特に日本との違いについて確認する際の参考にして頂ければと思います。既に駐在されている方はタイの給与に関する法律や制度の背景について改めてご参考頂ければと思います。

 

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長澤 直毅

 

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