Notice: Undefined offset: 0 in /home/myhomese/domains/businessmanagementasia.com/public_html/page/news.php on line 46

VATの仕入税額控除の対象とならない仕入税額

今回はVATの仕入税額控除の対象とならない仕入税額についてです。細かい取扱いはスタッフ、会計事務所に委ねる問題になるかと思いますが、Tax Invoiceの適切な受領や適切な取引相手からの購入などは配慮出来るところかと思います。中には本税の1倍の加算税、さらに不足納税額の1.5%/月の延滞税が加算されるようなケースもありますので、思わぬコスト増にならないよう注意が必要です。

 

仕入や事業経費にかかるVATはコストにはならない、というような話しを聞くことがあるかと思います。日本の消費税も同様の仕組みになりますが、VATは最終消費者が税負担を負うものの、間に入る会社が納税を行う間接税となっています。通常仕入や事業経費を支払う際に追加で支払うVAT(仕入VAT)は、自社が売上と併せて顧客から受けとるVAT(売上VAT)から差し引いて歳入局に納税することができ、コストにはなりません。例えば、売上VATが100に対して仕入VATが70の場合、差し引き30を納税するイメージです。仕入VATは一度キャッシュアウトしますが、売上VATと相殺できますので、自社のコストにはなっていません。

 

ところが、仕入VATを売上VATと相殺できない(仕入税額控除できない)ケースがあり、主に以下のような場合が挙げられます。

1.適切なタイミングで仕入税額控除しない場合

2.Tax Invoiceが無い場合/記載に不備がある場合

3.事業運営に関連しない支払いにかかるVATである場合

4.Tax Invoiceが発行権限のない(VAT登録事業者でない)会社によるものである場合

5.接待等の支払いにかかるVATである場合

6.歳入局通達により定められるもの(自動車購入関連支出(自動車リース業・販売業の場合を除く)、不動産売買・国内運送業・銀行業、海外販売・サービスなど)

 

1.適切なタイミングで仕入税額控除しない場合

原則は課税月に発生した仕入税額のみ認められていますが、実務上は6カ月以内であれば仕入税額控除に含められるケースが多くなっています。従って、6カ月を超えてしまう場合には、仕入税額控除できず、還付をするか、還付せずに自社のコストにするかのいずれかとなります。仕入税額控除を適切に申告している際に売上VATより仕入VATのほうが多くなるケース(輸出が多いケース、など)の還付請求には時効はありませんが、6カ月を超えて仕入税額控除が出来ない仕入税額の還付については、当該課税月の申告期限翌日から3年以内の還付請求が必要となります。還付請求をすると通常税務調査が入りますので、出来るだけ6カ月以内に漏れなく申告を済ませておくことが望まれます。

 

2.Tax Invoiceが無い場合/記載に不備がある場合

実務上、特に立ち上げたばかりの会社などでよく発生するケースです。備品などを購入した際にTax Invoiceをもらわない場合、あるいはもらっていても会社名・住所・Tax IDの記載がない、誤っているような場合は仕入税額控除が出来ません。また、この場合には仕入VATは税務上損金とすることも出来ません。

 

3.事業運営に関連しない支払いにかかるVATである場合

自社の事業運営に関連しない、取締役個人の私的な購入・支出(娯楽品、旅行費用、高額な家具など)と考えられるような場合には、この支出・仕入VATは会社の損金に含めることが出来ず、仕入VATの仕入税額控除も認められていません。

 

4.Tax Invoiceが発行権限のない(VAT登録事業者でない)会社によるものである場合

VAT登録事業者ではない会社が発行したTax Invoiceについても、損金算入は不可で、仕入税額控除も認められていません。さらに、仕入税額を過大申告したことのペナルティとして最大本税の1倍の加算税、納税額の不足がある場合は1.5%/月の延滞税が加算されるリスクもあります。Tax Invoiceには発行者のTax IDも記載が必要となります。特に高額なものを、あるいは継続的に購入する取引相手の場合には、取引時に同社のP.P.20(VAT登録証)を依頼して、Tax Invoiceに記載のTax IDと確認をする必要があります。

 

5.接待等の支払いにかかるVATである場合

接待等の支払いについては、歳入法で定められる上限の範囲内においては損金として算入することが出来ますが、これにかかるVATは仕入税額控除が認められません。なお、当該仕入VATは税務上損金処理することができます。

 

6.歳入局通達により定められるもの

自動車購入関連支出(自動車リース業・販売業の場合を除く)、不動産売買・国内運送業・銀行業、海外販売・サービスなどの非課税事業に関連する仕入税額は仕入税額控除出来ません。つまり、社有車の購入にかかる仕入VAT、あるいは不動産売買を業としている会社で当該事業にかかる仕入(事業経費)の仕入VATは仕入税額控除が認められません。なお、当該仕入VATは税務上損金処理することができます。

 

全てが仕入税額控除できるわけではなく自社のコストになるようなケースがあること、適切に申告をしないとペナルティが課されるケースがあることに注意して、Tax Invoiceの適切な受領や適切な取引相手からの購入をして頂ければと思います。

 

記事の内容が貴社の実態に合わせてどのように取り扱われるかが不明な場合など、お困りのことがございましたらお気軽に下記メールアドレスまでお問合せ下さい。

info@bm-ac.com

http://businessmanagementasia.com/jp/home

 

BM Accounting Co., Ltd.

BM Legal Co., Ltd.

President

米国公認会計士(inactive)

社会保険労務士

長澤 直毅

 

※本記事に記載の内容は、作成時点で得られる法律、実務上の情報をもとに作成しておりますが、本記事の閲覧や情報収集については、情報が利用者ご自身の状況に適合するものか否か、ご自身の責任において行なっていただきますようお願いいたします。 本記事に関して発生トラブル、およびそれが原因で発生した損失や損害について、BM Accounting Co., Ltd,/BM Legal Co., Ltd.及び執筆者個人.は一切の責任を負いかねます。また、本記事は一部で外部サイトへのリンクを含んでいますが、リンクする第三者のサイトの個人情報保護の取り扱いや、そのサイトの内容に関して一切責任を負いませんのであらかじめご了承ください。

Back to List