Notice: Undefined offset: 0 in /home/myhomese/domains/businessmanagementasia.com/public_html/page/news.php on line 46

2019年5月5日の労働者保護法の改正

今回は2019年5月5日発効の労働者保護法の改正についてです。選挙のタイミングもあり、選挙前には改正があるとの見方もありましたが、かなり以前から法改正がうわさされていた内容も含めて、ようやく4月5日の官報掲載により法改正に至りました。今回の改正内容を就業規則に反映させるための修正について弊社で対応しております。現在の就業規則データを頂けましたら、お見積り致します。言語はタイ語・英語・日本語いずれも可能です。また、今回の改正に合わせて就業規則を見直したいという方がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせください。なお、以下の対比表の内容は法令の直訳ではなく、法令の理解をまとめた内容となっております。

 

1.労働者保護法9条:退職時・補償金等の支払いにかかる遅延利息

従来より退職時やその他の理由で補償金などの支払いが発生する際に、労働者保護法9条1項で支払い遅延時の利息についての規程がされていました。この対象範囲が拡大しています。それぞれの支払い期日を把握し、支払い遅延が起こらないように対処すべきです。また、退職にかかる見解の相違により支払いの必要がないと考えているような場合、調停や裁判で解雇補償金の支払いが必要とされる場合には、延滞利息も発生することも想定しておく必要があります。

項目

従来

法改正後

労働者保護法9条1項:退職時・補償金等の支払いにかかる延滞利息

以下の支払いが期日から遅延した場合、年間15%の利息を加算して支払うものとする。

1.解雇時の;

・会社が従業員から預かっている保証金

・賃金

・時間外手当

・休日手当

・休日時間外手当

・労働者保護法118条の解雇補償金

・労働者保護法121条、122条の整理解雇時の特別補償金

※解雇より3日以内の支払い

 

以下の支払いが期日から遅延した場合、年間15%の利息を加算して支払うものとする。

1.解雇時の

・会社が従業員から預かっている保証金

・賃金

・時間外手当

・休日手当

・休日時間外手当

・労働者保護法で支払いが求められるその他の支払い

・労働者保護法118条の解雇補償金

・労働者保護法120条1項の住所変更等に伴う退職時の特別保証金

・労働者保護法121条、122条の整理解雇時の特別補償金

※解雇より3日以内の支払い

 

2.解雇予告手当

※最終勤務日に支払い

 

3.労働者保護法75条の会社都合の休業時の補償金

 

2.労働者保護法13条:雇用主変更時の従業員からの同意

労働者保護法13条では、M&Aや事業譲渡などにより雇用主の変更があった際には、新しい雇用主は従来の雇用条件を引き継ぐという規定がありました。これに加えて、雇用主の変更があった際には、従業員からの個別の同意を得る必要があります。同意が得られない場合はどうするかという疑問がありますが、従業員が同意をせずに退職する場合には、会社都合での解雇の扱いになると考えられます。今後M&Aをする際には、事前に従業員の同意を取り付ける、また同意が得られない従業員については解雇補償金が発生する前提で株式の売買価格に反映させるなどの対応が必要となってまいります。

項目

従来

法改正後

労働者保護法13条:雇用主変更時の従業員からの同意

資産の譲渡や株主の変更等により雇用主に変更があった場合、新たな株主は従業員に対する従来の権利義務を引き継ぐものとする。

資産の譲渡や株主の変更等により雇用主に変更があった場合、新たな株主は従業員から同意を得なければならず、また新たな株主は従業員に対する従来の権利義務を引き継ぐものとする。

 

3.労働者保護法17条1項:有期雇用契約の契約解除時の補償金

もともと17条では、有期雇用契約については、事前の通知なく契約満了時に契約が終了するという規定がありました。契約期間が満了する前に契約解除とする場合の取り扱いについて明確になっていませんでしたので、有期雇用契約で契約を途中で解約する場合には、契約満了までの期間の賃金を支払うことが明記されました。

項目

従来

法改正後

労働者保護法17条1項:有期雇用契約の契約解除時の補償金

-

17条2項に定める従業員への事前通知をせずに契約の途中で契約解除とする場合には、会社は最終勤務日から17条2項に定める有期雇用契約の満了時点までの賃金を支払うものとする。当該賃金は従業員の最終勤務日に支払うものとする。

 

4.労働者保護法34条・57条1項:私用休暇の年間3日間の有給規定

これまでは、私用休暇は労働者保護法で規定がありましたが、日数の明記は無く、何日とするか、また有給・無給は会社で決めることができました。今回の改正により、年間3日間までは有給とすることとなりました。

項目

従来

法改正後

労働者保護法34条:年間3日間以上の私用休暇の付与

従業員は、就業規則に基づき所要の手続きのための休暇を取得することが出来るものとする。

従業員は、年間3日間以上の所要の手続きのための休暇を取得することが出来るものとする。

労働者保護法57条条1項:年間3日間以上の私用休暇の有給化

-

会社は労働者保護法34条で規定する私用休暇について、年間3日まで有給とする。

※年間3日を超える私用休暇の取得も可能であるが、その場合有給とするか、無給とするかは就業規則等で規定される。

 

5.労働者保護法41条:出産休暇の対象と日数の増加

出産休暇はこれまで90日間までとされてきましたが、出産前の健康診断受診時の休暇も有給の対象となり、健康診断のための休暇を含み98日間までとなりました。

項目

従来

法改正後

労働者保護法41条:出産休暇の対象と日数の増加

妊娠中の女性従業員は、1回の妊娠につき90日以下の出産休暇を取得することができる。

妊娠中の女性従業員は、1回の妊娠につき出産前の健康診断受診時の休暇も含み98日以下の出産休暇を取得することができる。

 

6.労働者保護法118条1項5項、6項:20年以上勤務した際の解雇補償金の増額

従来は10年以上勤務した際の300日分の賃金支払いが解雇補償金の最高額でしたが、今回の改正により20年以上勤務した際に400日分の賃金支払いがされることとなりました。

項目

従来

法改正後

労働者保護法118条1項5項、6項:20年以上勤務した際の解雇補償金の増額

5項:勤続10年以上の従業員に対しては、最終賃金の300日分以上の解雇補償金を支払うものとする。

 

6項:-

5項:勤続10年以上20年未満の従業員に対しては、最終賃金の300日分以上の解雇補償金を支払うものとする。

 

6項:勤続20年以上の従業員に対しては、最終賃金の400日分以上の解雇補償金を支払うものとする。

 

今回の改正内容を就業規則に反映させるための修正について弊社で対応しております。現在の就業規則データを頂けましたら、お見積り致します。言語はタイ語・英語・日本語いずれも可能です。また、今回の改正に合わせて就業規則を見直したいという方がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

記事の内容が貴社の実態に合わせてどのように取り扱われるかが不明な場合など、お困りのことがございましたらお気軽に下記メールアドレスまでお問合せ下さい。

info@bm-ac.com

http://businessmanagementasia.com/jp/home

 

BM Accounting Co., Ltd.

BM Legal Co., Ltd.

President

米国公認会計士(inactive)

社会保険労務士

長澤 直毅

 

※本記事に記載の内容は、作成時点で得られる法律、実務上の情報をもとに作成しておりますが、本記事の閲覧や情報収集については、情報が利用者ご自身の状況に適合するものか否か、ご自身の責任において行なっていただきますようお願いいたします。 本記事に関して発生トラブル、およびそれが原因で発生した損失や損害について、BM Accounting Co., Ltd,/BM Legal Co., Ltd.及び執筆者個人.は一切の責任を負いかねます。また、本記事は一部で外部サイトへのリンクを含んでいますが、リンクする第三者のサイトの個人情報保護の取り扱いや、そのサイトの内容に関して一切責任を負いませんのであらかじめご了承ください。

Back to List