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解雇の区分と補償金、損害賠償金の支払いについて

今回は解雇の区分と補償金、損害賠償金の支払いについてです。事業をするにあたり、どんな事業でもヒト・モノ・カネ・情報の問題は付きまといます。モノ・カネやそれに関連する税金などの問題も日本とタイでは異なり頭を悩ます問題かと思いますが、一番よくご相談いただくのはヒトの問題です。ヒトの問題でも事業拡大に伴う人員増での給与のばらつき、セクショナリズム、派閥、パフォーマンス、勤務態度など様々あります。

 

社員によりよく働いてもらい、社員の成長にもつながることは事業を行ううえで大切なポイントの一つかと思います。それでも現実的には社員に辞めてもらう必要があるケースは発生します。タイでの解雇にかかる判例から、解雇の事由・正当性に応じて以下の3つに区分することができます。いずれに該当するかで、補償金、損害賠償の支払い要否が変わってきます。

 

1.労働者保護法119条1項に該当する“懲戒解雇”

⇒解雇補償金、事前通告補償金、年次有給休暇の買い取り、損害賠償いずれも不要です。

 

2.民商法典583条に該当する“正当な解雇”

⇒事前通告補償金、年次有給休暇の買い取り、損害賠償は不要ですが、解雇補償金は必要です。

(参考):民商法典583条 「従業員が意図的に使用者の合法の命令に背いた、又は習慣的にそうした命令を無視した、労務を放棄した、重大な過失をした、あるいは適切かつ誠実に遂行すべき自己の責務に反する行為をしたときは、使用者は事前の通知なしに、また損害賠償なしに解雇することができる。 」

 

3.上記いずれにも該当しない“不当解雇”

⇒解雇補償金、事前通告補償金、年次有給休暇の買い取りが必要であり、解雇状況により損害賠償を追加で支払うケースもみられます。

 

金銭的な負担だけを考えると、会社としては「1.労働者保護法119条1項に該当する“懲戒解雇”」として扱うことが望まれますが、例えば「業務上不正を行い、または使用者に対し故意に刑事犯罪を犯した。」、「合理的な理由なく、3日間連続して職務を放棄した。」などの条件に該当している必要があります。また、それを証明できる警告書(不正、違反などの具体的な事由の記載)などの書面がない場合には、労働局への駆け込みによる調停や労働裁判の場合には、「1.労働者保護法119条1項に該当する“懲戒解雇”」としては認められずに、解雇補償金などが求められる可能性が高くなります。

 

「2.民商法典583条に該当する“正当な解雇”」、「3.上記いずれにも該当しない“不当解雇”」のいずれに該当するかによって損害賠償金の支払いの有無が変わってきますので、大きな分かれ目になります。解雇をする理由が全く見られない場合、単に相性が合わないなどの場合には不当解雇とされている判例がみられます。

 

なお、実務上は上記の1-3の区分ではなく、書面上は自己都合退職として、一定の金額を支払うことで退職の合意をする合意退職という選択肢もあります。解雇事由が発生した場合には、従業員の状況からどの解雇に区分される可能性があるか、また最大のリスクとしてどれくらいの金銭が発生するかを想定したうえで対応を進めることが大切です。ただ、人と人とのやり取りになりますので、時に感情が入ることも多々あるかと思います。最終的にはお互いにとって最良の選択肢を見出して、前に進むことが何よりも大切かと思います。

 

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BM Accounting Co., Ltd.

BM Legal Co., Ltd.

President

米国公認会計士(inactive)

社会保険労務士

長澤 直毅

 

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