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退職後の競業避止義務の有効性について

今回は退職後の競業避止義務の有効性についてです。タイでは過去にも地域や期間を制限すれば競業避止義務を有効とする判決も出ています。特に一定の役職者については、制限を設けて入社時の契約に記載するとともに、退職時にも誓約書への署名をしておくとよいかと思います。

 

まずは、公開されている2017年の判例から要約として状況及び判決内容を取り上げます。

<最高裁判決No.3046/2560>

 

<状況>

原告である会社は衛生設備の製造販売を行っている。被告である労働者は同社の部門長として退職時の給与34,500バーツで勤務していた。会社と労働者の間の雇用契約書には、退職後2年間は同社と同種の事業を営む雇用主に雇用されてはいけない、これに違反した場合、退職時の月給の20倍を損害賠償金として支払う旨の合意を行っていた。労働者が退職後に同種の事業を行う会社に入社をしたため、会社は労働裁判所に提訴した。

 

<判決>

退職後2年間の競業避止義務を含む雇用契約は、会社が事業上の便益と権利を守るために行う適法な相互合意であり、公序良俗に反しない。従って、2年間の制約と違反時の損賠賠償金として退職時の月給20カ月の請求は可能である。

※状況、判決は公開されている判例から抜粋し、編集しています。また判決は最高裁のものとなります。

 

上記の判決については、地方裁判所では退職後の期間2年間については認めているものの、違反時の損害賠償が不当に高額であるとして、退職時の月給1ヵ月分とされています。判例上は明記がされていませんが、単に競業避止を求めるだけではなく地域の制限や補償がされている可能性が考えられます。タイでは過去にも地域や期間を制限すれば有効とする判決も出ています。過去の判例に基づくと、地域(具体的にはタイ、あるいや周辺の特定の国など)及び期間(2年以内など)に制限する、かつ制限にあたり退職金などで補償する、という条件を満たしている場合には有効性が高まると考えられます。特に一定の役職者については、上記のような制限をしたうえで、入社時の契約に記載するとともに、退職時にも誓約書への署名をしておくとよいかと思います。一般的には、入社時の同意書よりも退職時の同意書のほうが有効性が高くなっています。

 

なお、タイの移転価格税制の法改正がされましたが、詳細については以下のブログをご参照下さい。当社の税務顧問でタイ移転価格税制協力会の片瀬さんが情報更新をしております。

http://transferpricing.livedoor.blog/archives/14274401.html

 

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