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退職後の請求をしない旨のレターの効力

今回は退職時の宣誓書の効力についてです。一定の説明のもとご本人も納得して署名をしたものであれば、退職時の宣誓書は有効となります。そのため、退職時に宣誓書を取り交わしておくことで、退職後の訴訟リスクをある程度低減できるものと考えらえます。

 

従業員の自己都合の退職時、事情があり会社都合・本人都合での解雇をする際に宣誓書をとっておくことがあるかと思います。例えば退職後の協業避止、機密保持などがあります。競業避止については、地域や期間を制限すれば有効とする判決も出ています。過去の判例に基づくと、地域(具体的にはタイ、あるいや周辺の特定の国など)及び期間(2年以内など)に制限する、かつ制限にあたり退職金などで補償する、という条件を満たしている場合には有効性が高まると考えられます。特に一定の役職者については、上記のような制限をしたうえで、入社時の契約に記載するとともに、退職時にも誓約書への署名をしておくとよいかと思います。一般的には、入社時の同意書よりも退職時の同意書のほうが有効性が高くなっています。

 

また、特に会社都合や本人都合で解雇をする際には、解雇補償金の支払いを行う、あるいは本人との合意のうえで法定の解雇補償金の上乗せまたは法定よりも低い金額の支払いをする場合があります。特に法定の金額よりも低い金額を支払った際に、あとから本人が労働局に連絡をして調停や訴訟になることが懸念されるかと思います。ただし、退職時に従業員が会社に対して一切の請求をしない旨の宣誓書をとっておくことで、このような調停や訴訟についての請求を回避する一定の効力があるものと考えられます。例えば、2018年の労働裁判の判例では、時間外勤務等の割増賃金について会社が労働者保護法に違反し支払いがされていないケースで、解雇時に解雇補償金の支払いの旨と併せて従業員が会社に対して一切の請求をしない旨の宣誓書に従業員が署名をしていたため、中央労働裁判所では従業員に有利な判決が出ていたものの控訴裁判所では宣誓書は民商法典850条の和解契約にあたり効力を認める旨の判決を出しています。和解契約は民商法典851条で署名のある文書での証拠がなければ認められないとされていますので、必ず双方の署名をしておくことが必要です。

 

当然、宣誓書の取り付けが強制や詐欺的な方法であるなどの場合には無効とされる場合はあるかとは思いますが、一定の説明のもとご本人も納得して署名をしたものであれば、退職時の宣誓書は有効となります。そのため、退職時に宣誓書を取り交わしておくことで、退職後の訴訟リスクをある程度低減できるものと考えらえます。

 

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