タイに駐在する日本人の個人所得税の注意点
早いもので今年も折り返し地点を過ぎました。今回は年の途中でタイ赴任された方の初年度と2年目以降の個人所得税の注意点ついてです。
まず、前提条件は以下の通りとします。
・2017年5月1日赴任
・日本は4月30日まで居住者で、5月1日より非居住者
・タイでワークパーミットを取得、5月1日よりタイの居住者
・タイの給与は毎月10万バーツ、日本では15万円支給され、税金は会社が負担
・賞与は12月に20万バーツ
・為替は全て1バーツ=3.33…円で計算
・独身で扶養控除はなし
・65歳未満
・取締役で社会保険加入なし、その他保険料控除等なし
・賞与にかかる個人所得税も毎月の給与から控除
・個人所得税率は現時点(2017年7月16日)のものを使用
この場合、
日本支払給与:50,000バーツ
タイ支給給与:100,000バーツ
タイ支給賞与:200,000バーツ
となり、給与は8ヵ月分となりますので、(50,000+100,000)×8ヵ月+200,000=1,400,000バーツとなりますが、これに税金手当というものが加算されます。税金手当は、会社が税金を負担する場合に税金額と同額を所得に加算しますが、それによりさらに所得税額が上がるため、最終的に税金手当と所得税額が一致するまで再計算をします。
詳細の計算方法はここでは割愛しますが、計算すると所得税額=税金手当29,166.67 バーツ/月、8ヵ月で233,333.36バーツとなります。毎月の手取り額は150,0000バーツになります。
では次に、同じ条件で2年目に1月~12月までの12ヵ月居住者であった場合をみてみましょう。
日本支払給与:50,000バーツ
タイ支給給与:100,000バーツ
タイ支給賞与:200,000バーツ
となり、給与は12ヵ月分となりますので、(50,000+100,000)×12ヵ月+200,000=1,800,000バーツとなり、これに税金手当を加算します。
毎月の手取り額を同じ150,000バーツとするためには、37,738.10バーツを税金手当として加算する必要があります。1年目と比べると8,571.43バーツ多くなっています。
このように毎月の支給額・賞額が同じにも関わらず、年の途中で赴任した場合には1年目の個人所得税に比べて2年目の個人所得税が高くなることがあります。これは、2年目のほうが月数が多い分年間の所得額が多く、個人所得税の計算が累進税率(所得が上がるほど税率が上がる方式)で計算されるためです。具体的な個人所得税率は以下の通りです。
所得額 |
適用額 |
税率 |
1-150,000 |
150,000.00 |
0% |
150,001-300,000 |
150,000.00 |
5% |
300,001-500,000 |
200,000.00 |
10% |
500,001-750,000 |
250,000.00 |
15% |
750,001-1,000,000 |
250,000.00 |
20% |
1,000,001-2,000,000 |
1,000,000.00 |
25% |
2,000,001-5,000,000 |
2,000,000.00 |
30% |
5,000,001‐ |
所得による |
35% |
上記の例のように税金が会社負担である場合には会社のコストの管理、また個人負担の場合には個人の手取り額が変わることに留意していただければと思います。
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長澤 直毅
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