契約時の印紙の添付と印紙税の申告・納税について
今回はタイで契約を締結する際の印紙の添付と印紙税の申告・納税についてです。特定の契約を締結する場合には、印紙の添付を行う必要があり、また印紙の添付ではなく印紙税の申告・納税が必要な場合もありますので、注意が必要です。
原則としては、請負契約や借入(金銭消費貸借契約)などを締結する際に、契約書に印紙税を添付する必要があり、契約の内容により税率が異なります。具体的に印紙税のかかる契約内容と印紙税率として、例えば以下のようなものがあります。
契約内容 |
印紙税率 |
不動産賃貸借契約 |
0.10%(1,000バーツにつき1バーツ) |
株式譲渡契約 |
0.10%(1,000バーツにつき1バーツ) |
ハイヤーパ ーチェス契約 |
0.10%(1,000バーツにつき1バーツ) |
請負契約 |
0.10%(1,000バーツにつき1バーツ) |
金銭消費貸借契約 |
0.05%(2,000バーツにつき1バーツ) ※上限1万バーツ |
総会にかかる委任状 |
1回の総会にかかる委任:20バーツ 2回以上の総会にかかる委任:100バーツ |
保証契約 |
10,000バーツ超の場合:10バーツ ※金額により異なる。 |
なお、契約書を正副作成するケースがありますが、その場合正本は上記の通りの印紙税率となり、副本は正本にかかる印紙税が5バーツ以下の場合は一律1バーツ、5バーツ超の場合は一律5バーツとなります。一方、副本ではなく単なるコピーとして保管する場合には、印紙税の添付は不要となります。
また、2015年4月5日以降、100万バーツ以上の報酬である請負契約や契約期間の賃料総額が100万バーツである土地・建物等にかかる賃貸契約等の場合については、印紙の添付ではなく契約締結の翌月15日以内に申告・納税となります。
上記の印紙税について、申告遅延あるいは申告がされていない場合、歳入局法上それぞれ以下のペナルティがあります。
・90日以内の遅延の場合は2倍もしくは1,000バーツあたりの単価4バーツのいずれか高い方
(例えば請負契約の場合は1,000バーツあたり単価が1バーツ(1,000バーツ×0.1%)となりますので2倍が2バーツとなり、4バーツ>2バーツのため4バーツが適用され、実質4倍のペナルティ)
・90日超の遅延の場合は5倍もしくは1,000バーツあたりの単価10バーツのいずれか高い方
(請負契約の場合10バーツが適用、実質10倍のペナルティ)
・申告せずに歳入局からの指摘を受けた場合、上記6倍もしくは単価25バーツの高い方
(請負の場合25バーツが適用、実質25倍のペナルティ)
自主的に印紙添付、または自主申告が必要となりますので、申告・納税が必要な取引を把握し、適切なタイミングで処理するよう留意頂ければと思います。
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長澤 直毅
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